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​産業用ロボットって何だ?

1. 産業用ロボットの定義

産業用ロボットの定義としてJISでは「自動制御され、再プログラム可能で、多目的なマニピュレーターであり、3軸以上でプログラム可能で、1か所に固定してまたは運動機能をもって産業自動化の用途に用いられるロボット」としている。

マニピュレーターとは人の手や腕の代わりに作業する機構を指し、産業用ロボットで言えばアーム本体のことであり、従来型の専用機械や自動機械にはできない複雑な動作や作業が可能となる。

産業用ロボットは既に工場において必要不可欠な存在であり、その歴史も古く1960年代の初頭に登場し、現在も進化を続けている。

初期の産業用ロボットは人間が行う単純作業からの解放や、放射性物質や高温の金属の取扱いや、水中での作業など危険が伴う作業の代替を目的として導入された。

そして産業用ロボット自体の技術の発展と共に現在では熟練技能者でなければ難しい作業の代替、安定した生産力の確保を目的とした用途に応じた多種多様の産業用ロボットが開発されている。​​​​

 

 

2​. 産業用ロボットの主流

産業用ロボットは主に多関節型と呼ばれるロボットが主流となっている。

一般的にロボットアームと呼ばれるが、宇宙開発用や医療で用いられるロボットアームは「従来型マニピュレーター」といい、その多くが人間が直接操作あれるタイプである。

​それに対し、産業用のロボットアームはプログラム等の制御技術で自動的に作業を行うタイプである。

​産業用ロボットを動かす「ロボットを実際に動かして(教えて)、その動作をプログラムとして記憶して再生する」という "チーティングプレイバック" は制御術の中でも非常に重要である。

特定の作業​しかできない専用機と違い、産業用ロボットの場合、ロボットの関節の角度や動きや作業内容をプログラミングによって変更可能という多様性を有することが最大の特徴。

​また、ある程度の自律性を持たせることで「状況に合わせて力加減を調整する」という自動制御も可能である。

 

3. ロボットの用途

工業製品を製造する際にロボットが導入される理由の多くは、そのロボットが多用途の作業に対応しているからである。

単一の製品を製造するだけならば、専用機を投入したラインを構築した方が生産性は高い。

しかし、同一工場や生産ラインで複数の製品を製造する場合には専用機によるラインでは困難となる。

​例えば、自動車組立工場でセダン、ワンボックス、SUVなど複数車種を製造する場合、ロボットによるラインを構築した方が、より細かい需要に対応が可能となり有利になる。

4​. 産業用ロボットの多様性

自動車組立工場のを例にすると、セダンの製造ラインでワンボックス等の異なる車種を生産する場合、大規模な改修を行う必要があるが、ロボットの場合、さほど困難ではなく、プログラムなどの制御システムの変更等を実施する必要はあるが、小規模の変更で対応可能である。

産業用ロボットの多様性を支えているのが「アタッチメント」である。

​アタッチメントとは産業用のロボットアームの先端に取り付ける器具や道具の総称であり、用途に合わせて取り替えることで、包装、梱包、運搬、溶接、塗装、組立など幅広い作業を行うことが可能となる。

これによって製造に従事するロボットの種類の絞り込み、設備を簡略化し、人間の負担軽減や製造におけるコスト削減などのメリットを享受できる。

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